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衝撃の判決!定年後の安定的な再雇用に影を落とす、その内容とは。

2016/08/20

衝撃の判決!定年後の安定的な再雇用に影を落とす、その内容とは。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。最近の週末は、ロールキャベツの中身はオーソドックスなひき肉以外では何が美味しいのか、いろいろチャレンジしています。

今年(2016年)の5月に東京地方裁判所において、とある判決が企業に下されました。それは、これまで多くの企業が当然のこととして行ってきた「定年後の再雇用時の労働条件の見直し」が違法となってしまう、という非常に衝撃的なものです。

地裁の判決ですので、これが最終判断となるものではありませんが、この判決の経緯と企業が今後行うべきことについて今回お伝えいたします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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定年後の再雇用条件をめぐる裁判の経緯と判決

この裁判は、運送業を営む会社において、定年退職後に「嘱託社員(雇用期間に定めのある社員)」として勤務をしていた従業員3名が訴えを起こしたことに端を発します。

それは「正社員(期間の定めのない社員)」との間に賃金等の労働条件の差があることは、労働契約法20条に定める「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」に抵触するとし、「正社員に適用される就業規則に基づいて、賃金の差額を支払え」という訴えでした。

たしかに、労働契約法20条では、有期雇用者が、正社員と職務の内容や職責等が同じでありながら、「期間の定めがあることによって」不合理な労働契約を結ぶことを禁止しています。

しかし、会社の主張は、嘱託社員としての労働契約は「定年後の再雇用」であることを理由として正社員との労働条件の相違を設けているのであって、「期間の定めがあること」を理由として相違を設けている訳ではない、ということでした。

しかし、東京地方裁判所は、労働者の訴えを全面的に認め、彼らが嘱託社員に転換した以降に支払われた賃金と、正社員であれば支払われていたはずの賃金の差額など、合計で約420万円を支払うよう会社に命じたのです。

 

再雇用の安定性を実現してきた環境を反故に?

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これまで多くの企業は、「高年齢者雇用安定法(以下高齢法)」における《60歳定年退職》《65歳までの継続雇用》を行ってきました。

定年退職後に、新たな労働条件を設定するにあたっては、高齢法にはなんら水準・基準となる規定がなく、労使間の合意によるものとされています。そこで企業は、定年時点よりも賃金を低額にして再雇用することで、高齢法が定める「再雇用の安定性」が確保されてきました。

ハローワークが、定年後に賃金が下がった労働者に直接支給している「高年齢雇用継続給付金制度」の存在も、国が再雇用後の賃金の減額を認めている証拠といえます。

そのようななか、高齢法に従って定年後の雇用の継続に取り組んできた企業の対応を否定するかのような今回の判決に、納得できない企業は多いはずです・・・。

 

今回は地裁での判決であり、会社側はこの判決を不服として控訴したとのことです。今後の高裁、最高裁での判断が注目されます。そのため、現時点では本判決をもとに、企業が即座になんらかの対応を迫られるものではありません。

しかし、「同一労働同一賃金」が謳われる昨今でもあります。再雇用後の職務にはっきりとした差をつけるために、再雇用後に外せる業務の検討や、再雇用後は部下をつけない、などの検討が求められる日がくるかもしれません。

 

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高澤 留美子(たかさわるみこ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。