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従業員が自転車で通勤するリスクに、対策をとっていますか?

従業員が自転車で通勤するリスクに、対策をとっていますか?

こんにちは。東京都千代田区の社会保険労務士事務所オフィスアールワンの西嶋(にしじま)です。最近映画館で4DXを初めて体験しましたが、遊園地のアトラクションのようでした・・・!

さて、あなたの会社ではマイカー通勤は認められていますか?通勤にマイカーを使用するという場合には、会社のリスクを防ぐために「通勤車両管理規程」を定めている会社は多くあります。しかし、それが「自転車」となったときには「ルールまでは定めていない」という会社がほとんどです。

それでは、従業員が自転車で通勤する場合には、会社のリスクは無いのでしょうか?

 

自転車通勤のリスクとは

従業員が通勤中に加害事故を起こした場合、事故を起こした本人はもちろん、民法上の「不法行為責任」をおいますが、使用者である企業も民法第715条の「使用者責任」(※)によって責任を問われる場合があります。

※ある事業のために他人を使用するものは、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

 

マイカー通勤が「事業の執行」の一部とみなされた、次のような裁判例があります。

従業員が自家用車で通勤中に、自転車に乗っていたAさんと衝突して怪我をさせてしまいました。その裁判では

「通勤は業務そのものではないが、業務に従事するための前提となる準備行為として、業務に密接に関連するものということができる」
「使用者としては、このようなマイカー通勤者に対して、普段から安全運転に努めるよう指導・教育するとともに、万一交通事故を起こしたときに備えて十分な保険契約を締結しているか否かを点検指導するなど、特別な留意をすることが必要である」

として使用者責任が認められ、最終的に企業に647万円の賠償支払いを命じています。<福岡地裁飯塚支部平成10年8月5日判決>

 

従業員が通勤中に加害事故を起こした場合には、本人または会社が損害賠償請求をされてしまうという点においては、自転車であっても、車やバイクと同様です。そして最近は、自転車であっても死亡事故を含む重大な事故に発展する例も少なくありません。

携帯電話を見ながら自転車に乗っていて、歩行中の女性に追突し、被害者に後遺障害が残ってしまったことによる裁判では、横浜地裁は加害者に5,000万円の賠償支払いを命じています。また男性がスピードを落とさずに交差点に侵入して横断歩道の女性と衝突し、女性が脳挫傷で3日後に死亡した裁判では、東京地裁は加害者に6,779万円の賠償支払いを命じています。このような裁判例をはじめとして、賠償額は年々高額化しており、企業がその支払いを負うリスクも高くなっているのです。

 

自転車通勤にそなえた、会社の対策は

それでは、会社はどのような対策をとっておくべきでしょうか?

ひとつは、自転車を通勤に使用することを一切禁止するということです。その場合には、その旨を従業員に周知する必要があります。また、隠れて自転車通勤をしている人には、懲戒処分もありえることを強調します。

それでは「自転車通勤を認める」という場合はどうでしょう。その場合には、就業規則に自転車を使用する際のルールを定め、通勤の自転車利用を「許可制」とする必要があります。

そして、許可する条件として、次を定めて実施することが必要です。

 ① 安全運転教育の受講
現在、自転車の危険運転が絶えないことから、平成27年6月に改正道路交通法の施行により、利用時のルールが厳格化されています。(傘差し運転禁止、イヤホン・ヘッドホン禁止、右側通行禁止等14項目)

 ② 民間保険への加入
個人負担で自転車保険、または個人賠償保険に加入してもらう

 

②について、私どもの事務所のお客様のなかには「保険の加入を個人に任せてしまうのは不安だ」とのことで、法人で加入されている会社もあります。ちなみに、その保険料は一人あたり年間2,000円ほどでした。

 

手軽さや健康を意識して、都内でも自転車通勤を始める人が増えているように感じます。利用者が増えるということは、そのぶん事故も増えます。以前、私も自宅の最寄り駅まで自転車で通勤してましたが、歩行者や車にぶつかりそうになっている人を何度も見ましたし、私自身もぶつかりそうになった経験があります。

自転車は比較的安全だと思われがちですが、車と同様に、加害者になって多額の賠償金を請求される可能性はあります。そのことを踏まえ、本人と会社を護るための対策はぜひご用意ください。

 

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)のイメージ

執筆者

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな32歳です。 担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。最近はマイナンバー対応に注力しており、得意分野といえるようになってきました。 いつの日かサッカーの本場イングランドでサッカー観戦がしたいと思っています。

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