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意外と誤解されていますが、年俸制であっても残業代の支払いは必要です!

意外と誤解されていますが、年俸制であっても残業代の支払いは必要です!

こんにちは。東京都千代田区の社会保険労務士事務所オフィスアールワンの西嶋(にしじま)です。先日、久しぶりに近所の温水プールに泳ぎに行きましたが、本格的に水泳をやっていた頃に比べて体力の低下を実感しました・・・。これからは定期的に通って、体力をつけたいと思います!

さて、あなたの会社では、従業員の給与に「年俸制」を導入されていますか?一般的な月給制と異なり、年俸制を導入する会社のメリットとしては次のような点があげられます。

①1年間に支払われる給与が決まっているので予算管理がしやすい。
②成果主義の人事評価制度を採用していれば、従業員のモチベーション維持につながる。

特にここ最近では、②を目的として年俸制を導入する企業が増えてきています。そこで今回の記事では、年俸制を導入する企業がおさえておくべきポイントをまとめました。

 

年俸制の基本的なルール

使用者と労働者が年額で賃金を決めることを「年俸制」と呼びますが、じつは年俸制は法律上で明確に定義されているものではありません。ただし、年の途中での金額変更は原則行えないものとなります。

また、「年俸制」とはいえ賃金の支払いは年1回というわけにはいきません。労働基準法24条第2項により、賃金の支払いは毎月1回以上、定まった日に支払う必要があります。

 

年俸制に時間外手当は不要?

よく聞く話として「年俸制を採用すれば、時間外勤務・休日労働・深夜手当といった割増賃金の支払いを行わなくてもよい」という認識があるようですが、これは全くの誤りです。

割増賃金の支払いが不要となるのは、労基法第41条に定める「管理監督者」の場合です。ただし、この場合でも深夜手当の支払いは必要となるので注意が必要です。

なお、年俸にあらかじめ固定の時間外手当を含ませることも可能ですが、その場合はその内訳(「◯時間分の時間外手当を含む」)の明記が必須となり、それを超えた分についてはやはり支払いが必要となります。

 

また、年俸額に賞与が含まれている場合の、時間外手当の計算には注意が必要です。年俸額が確定している場合には、賞与として支給する額も割増賃金の算定に含めて時間単価を計算する必要があります。

たとえば、年俸720万(内訳:月額50万×12ヶ月+賞与120万)の場合に時間外手当の基礎となる金額は、月50万円ではなく、賞与分を含めた月60万円になります。

 

期間途中での退職または解雇の場合は?

年俸制の定める期間中であっても、該当する従業員が退職(あるいは解雇)となることはもちろんあります。その場合は年俸制の「解約」となりますが、次の点に注意してください。

本人の都合による途中解約(「自己都合退職」と同意です)の場合は、解約日以後の賃金は発生しません。

②賞与を一定割合として年俸に含む契約であった場合、賞与支給日の前の退職であれば「働いた期間に応じた賞与割当分が支払われる」ということが原則です。「支給日時点で在籍していなければ支払わない」という場合は、あらかじめ契約書への定めが必須となります。

③経営上の問題など、会社の都合によって中途解約をした場合は、債務不履行にもとづき、従業員が会社に残存期間の賃金請求を行なうことができます。そのリスクを抑えるためにも、契約書において「従業員が期の途中において退職したまたは解雇されたときは、原則として以降の賃金は支払わない」という旨を規定する必要があります。

 

年俸制は、自身の成果が直接給与に反映されますので、従業員の仕事に対するモチベーションの維持などのメリットがあります。しかし、「年俸制が時間外手当の圧縮につながる」という誤った認識で導入する恐れや、職種が変わっても原則として期間中での年俸の変更ができない、などのデメリットも多くあります。ぜひ、最初に年俸制の制度を正しく理解したうえで導入をご検討ください。

 

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)のイメージ

執筆者

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな32歳です。 担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。最近はマイナンバー対応に注力しており、得意分野といえるようになってきました。 いつの日かサッカーの本場イングランドでサッカー観戦がしたいと思っています。

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