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法律を遵守していたのに、トラブルに?労働法の意外な落とし穴。

法律を遵守していたのに、トラブルに?労働法の意外な落とし穴。

こんにちは。社会保険労務士事務所オフィスアールワンの笹沼(ささぬま)です。昔やっていたテニスを最近になって再開したのですが、テニスよりももっぱらアフターに力を注いでしまっています。

昨今において会社を経営していくうえで、労働基準法(以下、「労基法」)をはじめとした労働法全般を遵守していくことは、ますます当然のこととして求められてきています。しかしその反面で、「『労働法では義務化されていない』ことであるため、社内でも特にルールを定めていなかったところ、思いもよらず従業員とのトラブルが発生してしまった、というケースが多く見られます。

その際に「労働法に定められていないのに・・・」と訴えたところで状況は決して好転しません。今回は、「労働法に定めが無いが、会社としてぜひ定めておくべき事項」についてお伝えします。

 

パート社員やアルバイト社員にも賞与が必要?

例えば、労働法では下記のように定められています。

労基法第89条「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」

またその反面で、

「正社員・契約社員・パート社員・アルバイト社員等、職制が異なる社員ごとに就業規則を作成すること」については義務づけておりません。

それにも関わらず、もしも「個別の規則が無くて、また既存の就業規則においても<適用される対象労働者>を定めていない」という場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

<例>
A社は勤務しているパート社員のBさんから、「自分はパートだが、5年以上勤務しているし、正社員と同じような仕事をしているので賞与を支給して欲しい。」と要求された。
A社では正社員の就業規則は作成しているが、パート社員やアルバイト社員の就業規則を設けてはいない。

就業規則や雇用契約書で「パート社員やアルバイト社員への賞与は支給しない」と適用除外の規定が無い場合、要求を拒否することができません。この場合、パート社員やアルバイト社員にも賞与の支払義務が生じてきます。

このような状況を防ぐためには、下記のような2つの対策が必要です。

① 正社員の就業規則で、「パート社員やアルバイト社員を適用除外」と明記し、パート社員やアルバイト社員の就業規則を別途作成する。
② パート社員やアルバイト社員の採用時の雇入通知書や労働契約書に、「賞与の支給が無い」旨を明記する。

 

労働条件変更に合意してもらっていたのに・・・

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また、このようなケースもあります。労働法では下記のように定められています。

労基法第15条「労働者を雇い入れる際には、労働条件に関する書面を交付して明示すること」
労働契約法第8条「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」

上記のように、労基法では「労働者の雇入れ時」のみ、労働条件の通知を義務づけられています。また、労働契約法は、労働契約変更時には双方の合意が必要と定めているものの、「労働条件を変更した際の通知義務」までは求められておりません。

しかしここにおいても、会社が労働条件を変更する場合に、従業員に対して「変更後の労働条件を口頭のみで伝え、書面等で通知しない」ことで、トラブルが発生する可能性があります。

<例>
C社は経営状況悪化のため、パート社員のDさんに時給の減額を申し出た。Dさんは「会社の状況が悪いなら仕方ない」との思いで、同意した。
そこで会社は、「今月」の給与から減額後の時給で支給したが、Dさんは時給の変更は「翌月」からだと思っていた。そのため、今月は減額前の時給で再計算する必要があると要求してきた。

この場合には「言った、言わない」の問題となり、最悪ですと民事上の問題に発展してしまう可能性もあります。

これは、いつから時給が変更となるか、変更開始日を書面で明示しなかったことによって双方の食い違いが発生したケースです。

この場合の対策はもちろんひとつですね。

*「時給変更の開始日、及びその期間」を従業員に書面で通知し、事前に合意してもらうこと。

 

以上となりますが、これらはあくまでも起きうる事例の一部です。「法律を守っていたのに、会社が損害を被ってしまった」というケースは決して珍しいことではありません。
自社の就業規則はどうなっているか、また雇用契約変更時にはどのように対応しているのか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

 社会保険労務士事務所オフィスアールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社5年目を迎えます。 担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。 和柄のTシャツと豆腐に目がなく、自宅の冷蔵庫には常に豆腐が入ってます。

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