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解雇が無効に?プライベートでのトラブルが原因の懲戒解雇には、注意が必要です。

解雇が無効に?プライベートでのトラブルが原因の懲戒解雇には、注意が必要です。 - 社会保険労務士事務所オフィスアールワン | 東京都千代田区

こんにちは。社会保険労務士事務所オフィスアールワンの濵中(はまなか)です。野球をやらせるはずだった息子が、最近「サッカーをやりたい」と言い出して、残念な気持ちになっている今日この頃です・・・(必ず野球の道に戻してみせます!)。

さて、唐突ですが、会社の従業員がプライベート(就業時間外)において何か犯罪行為を起こしたとします。

その場合、「会社はもちろん懲戒処分を行うことができる」というのが一般的なイメージではないでしょうか?しかし、実は「犯罪である」ということのみを判断材料としてしまうと、会社側の判断が誤っているとみなされてしまいます。

今回は、従業員の就業時間外の行為(プライベート行為)と会社の懲戒処分の関係についてお伝えします。

 

就業規則の「懲戒処分」が適用できる条件とは?

懲戒処分の内容は、会社が「就業規則」において制定するものです。しかし、そもそも就業規則は「会社内の企業秩序を守るためのもの」であり、懲戒処分はそれを維持するために会社に認められている行為です。

したがって、従業員の「就業時間外」の行為を懲戒処分の対象とすることはできない、ということが原則になっているのです。やや意外とお感じになられる方が多いかもしれませんね。

ただし、原則は上記の通りであるとしても、社員が就業時間外に犯したその行為が「会社の業務に直接関連」していたり、「会社の名誉を著しく低下させた」とみなされる場合には、「会社の秩序が乱された」ものとして懲戒処分の対象とすることができます。

それでは、その判断基準がどのようなものかを見ていきましょう。

 

懲戒解雇が認められた2つの判例

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就業時間外の行為が原因によって、懲戒解雇を認められた判例には、例えば次のような2つのケースがあります。

 

<判例1>
大手貨物自動車運送事業所にセールスドライバーとして勤務していたAは勤務終了後に飲酒し、自家用車を運転中に酒気帯び運転で検挙された。そのため、会社は就業規則に基づき懲戒解雇処分を行った。

判決において、Aは大手の貨物自動車運送事業所の従業員であり、「このような違反行為が社会から厳しい批判を受け、会社の社会的評価を低下させる」として懲戒解雇を有効とした。
(東京地裁 平19.8.27判決)

<判例2>
電鉄会社に勤務していたBは、半年前にも電車内で痴漢行為をし、罰金刑に処されていた。しかしこのたび、再度の痴漢行為を行ったため、会社は懲戒解雇を行った。

判決では、「会社をあげて痴漢撲滅に取り組んでいる最中の出来事であり、会社の社会的名誉、信用を著しく損なう行為」として懲戒解雇を有効とした。
(東京高裁 平15.12.11判決)

 

これらの判例のように、従業員の就業時間外における非行行為が著しく会社に損害を与えた、と判断されたときは、懲戒解雇も認められます。しかし、そのハードルは相当に高いといえます。

 

懲戒解雇が認められなかったケース

懲戒処分の中で、減給や降格を考えるケースも多いと思われますが、減給に関連しては次のような判例もあります。

 

<判例3>
従業員Cは取引先の従業員との私的な酒席で口論となって暴行におよび、全治1週間の傷害を負わせた。そのため、会社は懲戒解雇を行った。

判決では、懲戒解雇は認められなかった。しかし「減給処分を超えた懲戒処分は是認できない」としており、事実上、減給処分は認められた。
(大阪地裁 昭60.3.8判決)

 

この判例では、判例1や2と異なり著しく会社に損害を与えたとまでは言えないため、明らかな犯罪行為であっても、解雇までは認められませんでした。

また、この場合の減給処分についても、取引先の従業員とのトラブルであり、その結果として会社に影響を与えた、ということが前提となっています。

 

以上で見てきたように「就業時間外の行為」についての懲戒処分が認められるケースのほうがまれであると考えられます。

会社としては「犯罪行為」というだけで判断をしてしまいがちですが、その場合、「懲戒権の濫用」として処分が無効となってしまう場合もあります。

「解雇に値する!」と考えられるほどの重大なトラブルであるからこそ、「実際にそれが会社にどのような影響を与えたのか」を通常よりもさらに慎重に考えた上で判断していくことが求められます。

濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
入社9年目。三人の子供と、読売ジャイアンツと西武ライオンズをこよなく愛する39歳です。 新規契約のお客様の案件を担当することが多く、就業規則や人事評価制度の構築など、幅広く対応しています。最近では外部からセミナー講師のご依頼を頂くケースも増えてきました。 現在、フルマラソン参加を目標にトレーニング中です。

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