アールワン日誌 Blog

「労災保険」は、何より経営者を守るための保険だということをお忘れなく!

「労災保険」は、何より経営者を守るための保険だということをお忘れなく! - 社会保険労務士事務所オフィスアールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士事務所オフィスアールワンの岩井(いわい)です。先日引いた風邪が思わず長引き、体調管理の難しさを痛感しました・・・。いまは、喉の消毒スプレーをデスクに常備するようにしています!

私が社会保険労務士として仕事を始めた頃ですが

「保険料の掛け捨てが嫌だから、健康保険・厚生年金保険はもちろん、労災保険にも入らない!」

という社長とお仕事をさせていただいたことがあります。

労働者派遣を行っており、労働者数は400人くらいいるものの、フルタイムで働く方の割合は比較的少ないほうでした。それでも労災保険に入らないことは会社としてのリスクが大きいことなので、私は何度も加入を奨めましたが、そのたびに社長は「保険料がもったいない」と言うばかりで決して首を縦に振ってはいただけませんでした。

そんなときに、その会社で実際に労災事故が発生してしまったのです。

 

治療費も生活費も補償される労災保険

事故にあわれたのは、派遣社員の人です。業務中に重い荷物を落としてしまい、左指の小指を切断する大けがとなりました。すぐにその社員のご家族から「けがをしたのは仕事をしていたせいだから、治療費や休んで仕事ができない間の生活補償をしてほしい」という連絡が入ったそうです。

そもそも労働基準法では、業務中に事故が起きたとき「費用は会社が負担するべき」ということが定められています。ただし、それをすべて会社に負わせるのは負担が大きすぎるだろうということで作られたのが労災保険です。そのため、労働基準法の災害補償の部分と労災保険法の補償に関する部分は、同じ内容の条文がたくさんあります。

労災保険に加入していれば、治療費は療養補償給付で全額補償となります。また、治療のために休んでいる期間の生活費も、休業補償給付と休業特別支給金によって、いつものお給料の金額の8割程度が補償されます。

しかし、この会社は労災保険に加入していなかったために、そのすべての費用を会社が負担しなければなりませんでした。もちろん、私は社長にこの事実をすぐにお伝えしました。

 

事故後でも労災に加入していれば・・・

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しかし、事故が起きたことには頭を抱えながらも、社長はまだ「保険料の支払はしたくない」と、労災保険の加入を拒み続けました。治療やお休みの期間が長引けば、保険料よりも事故に遭われた社員への補償額のほうが多くなる可能性もあったのですが、当時の私は経験が乏しかったこともあり、そのことを社長に理解して頂くことができませんでした。たとえ労災の加入が「事故後」でも、休業中の生活補償については、労災保険料以外に補償額の4割を会社負担すれば労災給付を受けることも可能だったのです。

結果的に、治療費や休業中の生活保障については、労働基準法のとおりにすべて会社が支払うことになりました。休業期間は当初1~2か月の予定でしたが、リハビリ等の治療期間が長引いたため、最終的に1年にも及びました。補償額の総額はトータルで400万円以上になったのです。

 

今回はたまたま、年間の保険料と同等でしたが。

最後の支払を行った後の、「岩井さんの言うことを聞いておけばよかった」という社長の言葉は忘れられません。今回はたまたま、社員全員分にかけられる一年間の保険料と、この一件で1人に補償した金額はほぼ同等で済みました。しかし、もしも治療期間がもっと長引いていれば、それ以上に支払うことになっていたということにも、社長はショックを受けられたようです。

もちろん、この出来事を教訓として、その社長は労災保険への加入を決めてくれました。しかし、リスクは指摘していたものの、それを傍観して最終的に大きな損失を与えてしまったことには、私自身の力不足を痛感せざるを得ませんでした。

 

1年間の給与総額に対して保険料が発生する労災保険の支払いは最大でも3分割のため、1回あたりの支払金額が多くなります。そのためもあり、どうしても会社としては無駄な出費と考えられがちです。しかし、もしものことがあったときに、会社負担で支払うには労働災害の補償金額はあまりにも大きすぎます。

労災保険は労働者が安心して働けるようにするための保険ということももちろん一つの側面ではありますが、その最も大きな役割は経営者を守るということです。私もこのときの教訓も踏まえながら、企業経営者のパートナーとして「一緒に会社を守る」という気持ちを強く持ちながら日々仕事をしています。

 

岩井 仁(いわいじん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 岩井 仁(いわいじん)
人事・社労士業務に関わって、早いもので10年以上が経ちました。手続き・給与計算から始まり、就業規則の変更や労務に関するご相談などの多くの業務をお受けしてきた結果、お客さまのお役に立てる知識がようやく蓄積できてきたと感じるこの頃です。健康面では体重が気になってきたので、フィットネスジムに週3回通って汗を流しています。

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