解雇規制緩和の意味を考える
2024/10/15

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、我が読売巨人軍が4年ぶりのリーグ制覇を達成しました。このままCS、日本シリーズまで突っ走って是非、日本一を目指してほしいと思います!
今回は「解雇の規制緩和」についてです。先日行われた自民党総裁選ではこの件が争点の一つとなりました。この問題は企業とそこで働く人にとって非常に重要なテーマとなります。そこで今回の解雇の規制緩和についてお伝えします。
解雇についてのルール
民法では契約の自由を原則とし、それを解約(解雇)する自由も基本的に認めています。しかし、従業員からすると突然解雇されると明日からの生活がままならなくなってしまうため、他の法律において保護されることになっています。代表的な規定が労働基準法20条に定められている「解雇予告」になります。企業が従業員を解雇する場合には30日以上前に通知をするというものになります。
そしてもう一つ重要になってくるのが労働契約法16条の規定です。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
この規定が日本は解雇がしにくい、と言われる所以になっています。簡単に言えば企業が従業員を解雇する場合には誰でも納得できる「それだったら解雇されても仕方ないよね・・・」という理由が必要ということです。逆に企業はできる限り解雇を回避する努力をしなければならないということになります。例えば経営難による整理解雇をしようと思った場合、役員報酬を減額したのか、他の業務に配置する余地はないのか、などを検討する必要があります。
解雇規制緩和とは
解雇規制緩和の一つ目は企業のこの解雇回避努力を免除するというものです。解雇された従業員が再就職しやすい環境を整えたうえで解雇をしやすくすることで、貴重な労働力をスピーディーに必要な産業や企業に移すことができるようになります。また、解雇がしやすくなることで今よりも採用意欲が高まり、多くの方にチャンスが回ってくる可能性があります。
解雇規制緩和の二つ目は「金銭解決制度」です。企業が行った解雇が争いの結果、無効と判断された場合、もとの企業に戻ることができるようになります。しかし、一度そのような関係になった企業になかなか戻ることができないケースもあります。そのような場合に従業員が希望したときは職場に戻る代わりに一定の金銭をもらうことで解決することを制度化するものです。これにより労務トラブルが迅速に解決される可能性があります。
必要なのはその人がどこで輝けるか考えること
解雇規制の緩和についてはメリット、デメリットがそれぞれあるために慎重に検討する必要があります。ただ、私見では解雇規制緩和は進めるべきだと思っています。前述したような「社内失業者」は推定で400万人いると言われています。その多くは社内の新しい業務についていけなくなってしまったり、残念ながら適正がなかったような人達です。しかし、そのような人達は違う業界、違う企業に移ることで新たな可能性を見出すことができるかもしれません。
当然、まずは自社において教育し、活躍できる場を用意することは必要です。しかし、それに拘り過ぎることによってお互い不幸になってしまうことも考えられます。そうなのであればその人のためになるべく早めに転職を促すことは悪いことではないのではないでしょうか。
今後、日本に押し寄せる少子高齢化、それによる労働力不足を解決するためのひとつの方法として私は解雇規制緩和は必要なことだと思います。

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!
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