年金事務所が実施する調査の最新傾向
2025/12/01
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。先日、家族で西武園ゆうえんちに行ってきました。昭和の商店街を再現しているエリアがあり、懐かしい気持ちになりました。
年金事務所は、会社が健康保険、厚生年金の手続きが適切に実施されているかを確認する調査を定期的に行っています。今回は、最近行われている調査で、重点的に確認されている点についてお伝えします。
年金事務所の調査とは?
社会保険に加入している会社は不定期(おおよそ2年から5年間隔)に調査にあたります。調査にあたると下記資料を年金事務所に提出し、調査を受けることになります。
<提出資料>
・全従業員分の賃金台帳(直近2年分)
・全従業員のタイムカードor出勤簿(直近2年分)
・雇用契約書(社会保険に未加入の方の分)
・源泉所得税領収証
・事業所調査回答書(従業員数、給与の支給日・種類など会社情報記載したもの)
調査で確認される項目

年金事務所の調査で確認されるのは主に下記についてです。
<確認事項>
・社会保険に加入すべき方が加入しているか
・算定基礎届、月額変更届の届出が正しく行われているか
・資格取得届届出する際に記載する報酬が適切か
・賞与とは別で支給される一時金について、賞与支払届の手続きを行っているか
従来は加入義務のある従業員が加入しているか、算定手続きや月額変更届が正しく届出されているかの確認が主でしたが、最近は、資格取得時に記載する報酬、一時金の支給について詳しく確認されることが増えています。
<最近多く指摘される事項>
・資格取得時の報酬に見込みの残業代が含まれていない為、資格取得届の訂正が必要。
報酬には、毎月固定で支給される基本給や手当、通勤手当(1ヶ月)、見込みの残業代(同じ業務を行っている方の平均額)を予め含めて届出を行う必要があります。
・通常の賞与以外で賞与支払届の対象となる一時金は賞与支払届の届出が必要。(賞与の対象となった場合、会社と従業員に社会保険料の負担が生じる)
○賞与支払届の対象となる一時金
① 資格取得報奨金
② リファラル採用(社員紹介制度)によって生じる報奨金
③ 実費以上支給される転勤支度金など(実費で支給の場合は該当せず)
④ 社内表彰制度における報奨金(金券なども含む)
⑤ 永年勤続表彰金(おおむね5年以上支給間隔が空かないもの)
⑥ 臨時で支給されるインセンティブ手当
●賞与支払届の対象とならない一時金
① 事業主が恩恵的に支給する一時金 例:結婚祝金、傷病見舞金、慶弔見舞金など
② 大入袋(満員御礼などで従業員、来客者など全員に支給されるもの)
③ 実費で支給される転勤支度金など
④ 永年勤続表彰金(支給間隔が5年以上)
恩恵的に支給されるもの、福利厚生としての側面が強いものは賞与支払届の対象とはならないとされています。
会社の対応について
・資格取得時の報酬について
資格取得時の報酬に残業代を含めるかについては、判断が難しい部分かと思います。入社して直ぐに残業が生じる可能性があるのであれば、予め一定額を含めておく。判断がつかない場合は、毎月固定で支給される報酬で届出を行う。
・賞与以外の一時金について
自社で賞与支払届の対象となる一時金がないか確認をいただき、通常の賞与と一緒に支給ができないか検討いただく、一時金の支給自体を廃止するなど検討を行う。
年金事務所が行う調査は、以前よりも細かく確認されていると感じています。自社の社会保険関係の手続きが正しく行われているかについて改めて確認を行っておく必要があります。
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社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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