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割増賃金の計算単価に含めない手当を正しく理解していますか?

2019/05/30

割増賃金の計算単価に含めない手当を正しく理解していますか? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。最近、休みの日に自転車に乗ることにはまっており、天気が良い日は川沿いをサイクリングしています。ちょっとした運動になり、また気分転換にもなるため、サイクリング用の自転車購入を検討しているところです。

2019年4月から、時間外労働の上限規制が始まり、多くの会社で労働時間の削減に取り組んでいることと思います。時間外労働が発生した場合、その時間に対する手当を支給する必要がありますが、その割増賃金の単価計算が誤っている場合があります。その場合、正しく労働時間を把握していたとしても、未払賃金が発生してしまいます。

そこで、割増賃金の計算単価に含める手当、含めない手当についてお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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割増賃金の基礎となる賃金から除外できるものとは?

労働基準法第37条第5項では、以下の手当は割増賃金の基礎となる賃金から除外することができます。

1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女教育手当
5.住宅手当
6.臨時に支払われた賃金
7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

ただし、これらの名称で支給されていても、支給方法によっては割増賃金の単価に含める必要がある場合があります。

 

誤りやすい事例とは?

1.家族手当
割増賃金の基礎から除外できる「家族手当」とは、扶養家族の人数またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当です。そのため、以下のような場合は割増賃金の基礎から除外することができません。

扶養家族の有無や、家族の人数に関係なく一律に定額が支給される場合
例:扶養家族がいる場合   一律30,000円支給
  扶養家族がいない場合  一律15,000円支給

 

2.住宅手当
割増賃金の基礎から除外できる「住宅手当」とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当です。そのため、以下のようなケースは割増賃金の基礎から除外することができません。

住宅の形態ごとに一律に定額が支給される場合
例:賃貸住宅居住者 一律20,000円支給
  持家居住者   一律10,000円支給

 

3.臨時に支払われた賃金
割増賃金の基礎から除外できる「臨時に支払われた賃金」とは支給事由の発生が不確定であり,かつ稀に発生するものです(傷病見舞金、結婚祝い金等)。そのため、以下のようなケースは割増賃金の基礎から除外することができません。

①システムエラーに対応するために待機した日数に対して、一律に定額が支給される場合
例:1日待機した場合   一律10,000円支給
②GWに臨時勤務したことにより、一律に定額が支給される場合(実労働時間に対する割増賃金は別途支給)
例:1日勤務した場合   一律5,000円支給

 

正しく労働時間を把握していても、割増賃金の単価に含めるべき手当が誤っている場合、最長で2年前まで遡って不足額が発生することになります。

(例)A社

・家族手当30,000円を一律支給している
・1か月の平均所定労働時間数が168時間
・月40時間の時間外労働が発生
・従業員数30名

30,000円÷168時間×1.25×40時間×24か月=214,285円/人
214,285円×30人=6,428,550円

 

 
現状の割増賃金の単価が正しいかを確認してみてください。ご不明な場合は、ぜひ弊社にご相談ください。

 

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笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社12年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(週1回目標!)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。