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こんなときどうする?健康診断受診における注意点

2021/02/10

こんなときどうする?健康診断受診における注意点 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。最近週1回のジム通いをしています。身体を動かすことでリフレッシュになり、健康維持にもつながっていますので、おすすめです。

会社は従業員に対し、雇入れ時や年に1回の定期健診診断の受診を義務づけています。ただし、「再検査になった場合の健康診断の費用負担は会社、それとも社員?」「傷病休職中の社員にも年に1回の健康診断を受けさせる必要があるの?」といったご質問を受けることが多くなっています。

そこで、今回は健康診断の注意点について、お伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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【健康診断に関するQ&A】

Q1 雇入れ時の健康診断及び定期健康診断の受診義務のある社員は、全社員が対象でしょうか。

A1 以下の要件のいずれかを満たす方が対象となります。

①無期雇用で働く労働者
②契約期間が1年以上(契約更新により1年以上になる場合を含む)かつ週の所定労働時間が正社員の4分の3以上の労働者

正社員、契約社員、パート社員といった区分ではなく、上記要件を満たす場合は全社員に受診義務があります。定年再雇用後の嘱託社員であっても同様です。

 

Q2 弊社に入社する直前に、前職で健康診断を受診している社員がいます。この場合でも弊社に入社したら、雇入時の健康診断を受診させる必要があるのでしょうか。

A2 労働安全衛生法では、「医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しないものを雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その項目についての健康診断をおこなわなくてよい」と規定されております。そのため、入社3ヶ月以内に健康診断を受診しており、かつその結果を会社に提出しているのであれば、雇入れ時の健康診断の受診義務はありません。

 

Q3 雇い入れ時の健康診断は入社後、いつまでに受診すべきなのでしょうか。

A3 労働安全衛生法では、期限の規定はありません。ただし、「医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しないものを雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その項目についての健康診断をおこなわなくてよい」との規定を元にし、3ヶ月以内を目安として受診してください。

 

Q4 定期健康診断の結果、要再検査となった社員がおります。この社員が再検査を受ける場合の費用は会社が負担すべきなのでしょうか。また、再検査受診中の時間は、労働時間としてみなす必要があるのでしょうか。

A4 雇入れ時の健康診断及び定期健康診断は、会社が実施する義務があるため費用負担する必要がありますが、再検査については会社の実施義務はありません。そのため、会社が費用を負担する必要はありません。また、労働時間とみなす必要もありません。

 

Q5 「仕事が忙しくて健康診断に行く時間がない」「自分は健康だから、健康診断の受診は必要ない」という社員がいます。このような場合は、健康診断を受診させなくても問題ないのでしょうか。

A5 定期健康診断は年に1回実施する義務があるため、必ず受診していただく必要があります。すでに通院しており、その通院先で定期健康診断と同じ項目を受診済であれば、会社が実施する健康診断を受診しなくても良いですが、その場合でも通院先の健康診断結果を会社に提出する必要があります。

 

Q6 健康診断の結果については、「センシティブな情報なので、会社に提出したくない」という社員がいます。このような場合はどうしたら良いでしょうか。

A6 会社は安全配慮義務として、社員の健康状態を把握する必要があります。健康状態についてはセンシティブな情報にはなりますが、社員がどんな健康状態であり、どのような配慮が必要なのかについて、会社は把握し対応する必要があります。そのため、社員の情報は厳重に管理する旨を伝え、提出するように伝えてください。

 

Q7 弊社では毎年4~6月に健康診断を受診させています。3月に入社した社員に、雇入れ時の健康診断として3月にすでに受診させていますが、このような場合でも4~6月の間に改めて健康診断を受診させる義務がありますか。

A7 雇入時の健康診断を実施した場合、実施後 1年間は定期健康診断を省略することができます。そのため、その年度の健康診断は受診しなくても問題ございません。

 

Q8 深夜業務に従事する場合は、6か月に1回の健康診断の受診義務があると聞きました。弊社は夜勤勤務があるわけではないのですが、業務が集中し、頻繁に深夜まで勤務する社員がいます。このような場合、「深夜業務に従事する」として6か月に1回の健康診断を受診させる必要がありますか。

A8 6か月を平均して1か月当たり4回以上深夜に勤務しているのであれば、該当します。

 

Q9 育児休業や傷病休業中の社員がいます。この社員に対しても、年に1回の健康診断の受診義務はありますか。

A9 育児休業や傷病休業中の社員に対しては、年に1回の健康診断の受診義務はありません。復職後に、他の社員と同様受診させてください。

 

 

健康診断は、社員が健康に働くために今の健康状態を把握することが目的です。「受診させて終わり」、ではなく、受診の結果、どのように健康に配慮していくかが重要となります。また、再検査については会社に義務はないものの、健康状態に問題があるまま働かせることは会社にとってもリスクとなります。そのため、社員の健康を守るためにどんな対応をすべきか、を考える必要があります。 

不明な点がございましたら是非ご相談ください。

 

企業の経営者・担当者さま

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笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社12年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(週1回目標!)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。