アールワン日誌 Blog

資格取得費用を出したら、労基法違反?

2021/09/30

資格取得費用を出したら、労基法違反? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。先日、定期入れを無くしてしまいました。半分あきらめながら都バスお忘れ物センターに問い合わせをしたところ、「ありますよ」とのお返事が。さらに、財布を忘れたときのためにと入れていた1,000円もそのままで戻ってきました。人さまの善意を感じた瞬間でした。

運送業のお客様からお電話がありました。

「大型免許を取りたいという従業員がいる。費用を会社が出そうと思うのだが、出したら最低でも3年は勤務してほしい。しかしそれが労基法に違反する場合があるとかないとか、どこかで見た気がする。どうしたらいい?」

従業員への金銭負担が、労基法違反にならないための注意点をお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

catButton - 社会保険労務士事務所オフィスアールワン | 東京都千代田区

 

労基法違反となるのはどんなとき?

労基法第16条では、「損害賠償額の予定」を禁止しています。「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をしてはならない」というものです。

これは、労働者が労働契約について何らかの不履行をした場合に、あらかじめ一定の違約金を定めておくことはできないというものです。これは、労働者の退職の自由を制限することの禁止が目的です。

 

これに違反するとした裁判例として、会社は新入社員に対して、退職した場合は指導訓練に必要な諸経費として、入社月に遡って1か月あたり4万円の講習手数料を支払う旨の契約を結ばせていた。そして、退職した社員に在籍期間に対応する7.5ヵ月分の講習手数料30万円を請求した、というものです。

裁判所は、会社が行った指導訓練は一般の新入社員教育とさしたる相違はなく、使用者として当然行うべき性質のものであるから、労働契約と離れて本件のような契約をなす合理性は認めがたい。しかも、同契約によって従業員に課される講習手数料の支払い義務が、従業員の自由意志を拘束して退職の自由を奪う性格を有することが明らかであるという理由から、労働基準法16条に違反すると判断しました。

 

なお、この規定が禁止するのは、あらかじめ「違約金」、「損害賠償額」を定めることであって実際に発生した損害額を会社が請求することを禁止しているものではありません。

 

社長にお伝えしたことは。

社長がひっかかったのは、お金を出したら3年は働いてほしい、という点が労基法云々に抵触するのでは、と思われたようです。そのため、資格取得は本人の意思ですよね(会社からの業務命令ではないですよね)を確認し、必要な書面を用意しました。

・  労働契約とは別個の金銭消費貸借契約を結ぶ。
(会社が本人にお金を貸す。本人と相談の上、資格取得に必要な実費額。あるいは一部額。いずれも本人が必要とする額)

・契約書の中に、お金を貸した日から、3年以上勤務した場合は、返済義務を免除する旨を入れる。(いつでも退職は自由である)

 

従業員の方が資格取得を目指したり、必要な研修によって力をつけていく、その前向きな行動を、会社もサポートしたい!と思われることは当然です。

このような場面だけではなく、社長が良かれと思って行動したことが、労基法違反!にならないようにと思います。そのために存在しているのが社労士だろ、という社長の声が聞こえてきました。

 

企業の経営者・担当者さま

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高澤 留美子(たかさわるみこ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、はや25年。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。現在ご契約いただいているお客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々奮闘しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。