社会保険労務士という仕事
2024/08/10

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。先日、長野県の上高地に行ってきました。雄大な山々をはじめ、美しい池や湿原、川の清流などさまざまな絶景スポットに心を癒され、たくさんのエネルギーをチャージすることができました。
今回は私が社会保険労務士という仕事を15年間していている中で印象的だった出来事をお伝えします。
社長の悩みの理由・・・
ある会社の社長からのご相談でした。その会社は従業員3名で広告業を営んでいたのですが、そのうちの一人が適応障害になってしまい長期のお休みが必要な状況になってしまいました。限られた人数で経営をしている中、一人いなくなることは他の従業員にとって大きな負担になります。本来であれば休職をしてもらい回復を待ってあげたいところですが会社の経営を最優先で考えると辞めてもらい、新しい人を採用したほうがよいはずです。
しかし、その社長は悩まれていました。なぜ悩んでいるのかお聞きしたところ、次のような話でした。
「彼女はうちで初めて採用した新卒社員なんだよ。最初は雇うつもりはなかったんだけど、どうしてもうちでやりたいって言ってね・・・その情熱に負けて採用したんだよ。」
その社長は自分の会社が好きで入ってきてくれたその人に対して、また新卒採用であったこともあり、適応障害になってしまったことに対して責任を感じていたのです。それが退職してもらうことを躊躇させる理由になっていました。
背中を押してもらいました
そこから社長と長い時間をかけて、その人のために会社として何ができるのか、今後の会社経営を考えた時に何がベストなのかを話し合いました。結果、傷病手当金を受けることができるまで在籍を認める代わりに辞めてもらうということで社長とその人の間で話し合いがまとまりました。
その話し合いが終わった後に社長から電話があり、言われたことが「濵中さんに背中を押してもらいました」という言葉でした。社長という立場からすれば会社の経営を継続していくためにすぐにでも人員の補充を決断する必要があります。もちろん、社長もそれは分かっていました。しかし、思い入れがある従業員に対して、それを伝えることに踏ん切りがつかなかったのです。
私が社長との話し合いの中で伝えたのは「何かあっても社長の決断をフォローします」ということだけでした。その言葉を受けて社長が自ら判断をしたのです。
社長や人事担当者から相談を受けた場合、多くのケースでは「こうしたい」という結論(要望)があることがほとんどです。その時にその決断に対して法的な問題はないのか、リスクはないのか、他にもっとよい方法はないのか、それをお伝えしたうえであとはその決断をそっと後押しするのが私たちの役割りだと思っています。
その後、その会社はうまく人員補充をすることができ、退職した従業員も体調が回復して他の会社で元気に働かれているとのことでした。あの時に社長に言われた「背中を押してもらった」というひと言は今も私の仕事をするうえでの軸となっています。

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
「四角い法律を丸く」 そんな想いで、社会保険労務士として日々、企業とそこで働く人たちの“ちょうどよい”を探しています。法律は「正しい」けれど、現場には「現実」がある。その間に立ち、経営者と従業員がともに前を向ける関係性づくりを大切にしています。趣味はランニングとMr.Children、そして何より、お酒を片手に語らうこと。仕事の話でも、人生の話でも、お気軽にお声がけください。“ひと息つける社労士”として、あなたに寄り添えたら嬉しいです。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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