男性の育児休業における手続きの注意点
2024/08/15
こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの大塚(おおつか)です。最近は暑い日が多いせいか、家にある観葉植物が大きく成長しています。寒い時期はあまり成長せず葉も小さいのですが、夏は一年の中で一番元気に育ちます。私たち人間にとっては夏バテしてしまいそうな気候ですが、植物にとっては良い時期のようです。
厚生労働省から、2023年度の男性の育児休業取得率が30%を超えたとの調査結果が発表されました。企業によって取得率に差はありますが、徐々に世間に浸透しているのを感じます。
今回は、男性の育児休業手続きにおいて、会社が気を付けなければいけないポイントをお伝えします。
ポイント1.育児休業制度と産後パパ育休の違い
男性が取得できる育児休業は、主に2種類あります。1つ目は通常の育児休業制度、2つ目は出生時育児休業(産後パパ育休)です。
産後パパ育休の後に育児休業制度を取得することができるので、男性は子が1歳になるまで最大4回分割して休業を取得することが可能です。それぞれ対象期間が異なるので、要件を確認しておきましょう。
※出産予定日前に子が生まれた場合は、出生日から出産予定日の8週間後まで
出産予定日後に子が生まれた場合は、出産予定日から出生日の8週間後まで
ポイント2.社会保険料免除と育児休業給付金申請の注意点
産後パパ育休と育児休業制度をあわせて4分割で取得した場合の例を見ていきましょう。
(1)社会保険料免除の要件
「育休を開始した月から終了する日の翌日が属する月の前月まで」に加えて、「育休取得開始日と終了日の翌日が同月の場合、その月中に14日以上の育児休業を取得した場合」についても、当該月の社会保険料が免除されます。
8月は①と②の期間を合算して14日以上の休業になるので、上記の例では8月分、10月分、11月分の社会保険料が免除となります。
この「同月内に14日以上の育休取得」で免除となるのは、「育休開始日と終了日翌日が同月内」の場合に限るので、注意が必要です。
また賞与保険料ですが、免除要件は「賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業を取得した場合」です。8月25日支給の賞与はこれに該当しないため、社会保険料は免除されません。
(2)育児休業給付金の申請
産後パパ育休期間である①および②の育児休業給付金申請の際は、『育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書』を使用します。
子の出生日から8週間を経過する日の翌日から申請可能で、①、②のように分割取得した場合でも申請は1回にまとめて行います。
上記の例③、④のように産後パパ育休取得後に育児休業を取得する場合は、『育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書』で申請を行います。出生時育児休業給付金支給申請を経てからの手続きなので育児休業分割取得扱いになり、賃金月額証明書の添付は不要です。
男性の育児休業は短期間の分割取得が可能なため取得者にとっては便利な反面、会社側は管理が煩雑になってしまうところがあります。
制度の違いを整理し、手続きミスのないようにしていきましょう。
社会保険労務士法人アールワン 大塚 菜津実(おおつかなつみ)
信用金庫に約10年勤めたのち、社会保険労務士を目指してアールワンに入社しました。お客様の様々なお悩みに迅速に対応するため、幅広い知識の吸収と実務対応に奮闘中です。常に相手の立場で物事を考え、解決策をわかりやすくお伝えすることを心がけます。学生時代はテニス部に所属。動物が好きで、休日は動物園や牧場、水族館をよく訪れています。
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