熱中症対策が義務化されました。会社の対応は?
2025/07/15

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近の週末は1日15,000歩を目標にウォーキングをしています。しばらくはウォーキングを行う予定ですが、年内にはランニングに切り替えたいと思っています。継続できるよう頑張ります。
2025年6月1日から会社に対して職場での熱中症対策が義務化されました。近年、業務中に熱中症にかかる方が増加しており、2024年は30人の方が亡くなり、休業4日以上となった死傷災害は1,195人となりました。(出典:厚生労働省「令和6年職場における熱中症による死傷災害発生状況」)
今後、業務中の熱中症により、従業員が死亡するなどの事故が発生すると会社にとって大きなリスクになります。今回はその対策についてお伝えします。
熱中症対策義務化の内容(2025年6月1日施行)
今回の改正は、予め熱中症のおそれがある作業に従事する方が、熱中症の自覚症状がある、熱中症の疑いがある場合、報告から対処までできる体制整備を行い、社内で周知することまで求められています。
<対策が必要となる作業>
WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる場合が該当します。
※屋内外に限らず、上記に該当する場合、熱中症の対策が必要。(主に建設業、製造業、運送業等が該当する場合が多い)
※熱中症の労災認定基準は、下記です。
①熱中症が発症したと認められること(医学的に認められること)
②熱中症の発症が業務に起因すること(業務中の温度・湿度などの作業環境から判断)
会社の対応について
①熱中症のおそれがある場合の対応フローを作成し社内で周知する。
※熱中症の症状はめまい、頭痛、大量の発汗、吐き気、倦怠感、失神など
②夏場の作業時間の見直し、給水時間を設ける
1日で最も暑い時間帯の作業を避け休憩時間とする、30分に1回給水時間を設ける等を社内ルール化する。
③使用者賠償責任保険(民間保険)への加入検討
会社が適切な対策を行っていたとしても熱中症により、従業員の方が亡くなってしまった場合、使用者としての責任が問われ、遺族から高額な損害賠償請求を求められる場合があります。現場仕事などが中心となる業種については、加入を検討ください。
<判例>造園業者で働く男性が、真夏の炎天下に作業を行っていたところ、熱中症により死亡した事案につき、慰謝料2,500万円と逸失利益1,680万円を認定し、最終的には企業側へ約3,600万円の賠償責任を命じました。(大阪地方裁判所 平成28年1月21日判決)
熱中症の死傷災害の大半は初動対応の遅れが原因となっています。熱中症については、対策を行っておけば防ぐことが可能だと思っています。気候変動により、夏場の暑さは毎年非常に厳しいですが、自社で発生させないはもちろんのこと、発生しても従業員が亡くなるような事故にならいよう、会社として対応することが求められます。

社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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