会社の出口、「事業承継」について考える
2025/10/01

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。来月の横浜マラソンに向け、仕事の合間を縫って最後の追い込み練習をしています。自己ベスト更新を目指しながら、日々挑戦を続けています。
最近、顧問先の経営者の方と話をすると「この後会社を誰に託すか」という話題が出るようになりました。そこで今回は事業承継について書いてみたいと思います。
会社の最後は4つしかない
中小企業の「最後」は、いくつかの形に分かれます。大きく分けると、「親族や社員への承継」「M&A(第三者承継)」「廃業」「倒産」の4つです。では実際にどのくらいの割合になるのでしょうか。
調査方法や対象によってばらつきはありますが、統計をみると、事業を引き継ぐケース(親族・社員・M&A)は全体の1〜2割程度にとどまります。一方で、6割以上は廃業という形で幕を閉じているのが実情です。しかもその多くは「黒字廃業」、つまり事業は成り立っていたのに後継者不在などでやむなく終えるケースと言われています。
いずれにしても、廃業を選ぶ企業が多数派であることは確かです。だからこそ、「まだ元気なうちに」承継やM&Aを検討することが、経営者にとって重要な選択肢になってくるのではないでしょうか。
実際の事業承継を経験して感じたこと
私も2021年に事業承継をして、今の事務所の代表になりました。それまでは他の仲間と同じスタッフの一人だったのですが、その時から漠然とですが、自分で経営をやってみたいと思っていました。そのような時に幸運にも前代表からやってみないか、と声をかけてもらったのです。
最初は驚きました。やってみたかったと書きましたが、実際にそれが現実的になると「本当に自分ができるのだろうか・・・」と不安な気持ちになります。また、家族のことを考えてリスクを取ることに躊躇する自分もいました。最終的に決断をするまでに半年くらいは悩んでいたと思います。
いざ、やることになってもその後が大変でした。通常の業務は当然今までどおりあります。それと並行して事務所の経理処理やスタッフの給与計算など覚えなければならないことが山ほどあります。当時は土日返上で必死に勉強をする日々でした。結局、代表就任の打診を受けてから就任までの準備期間として3年ほどかかりました。
事業承継を考えるのであれば行動は早く
おそらく私の場合はスムーズにいったケースで、規模や従業員が多くなるほど必要な期間は長くなります。過去に前代表になぜM&Aではなく事業承継を選択したのか聞いたことがありました。「私が大切にしてきた想いを引き継いでほしかったから」という答えでした。
経営者にとって会社はその人自身であり、人生です。多くの時間と情熱を注いだ大切な会社を残したい、その想いを可能にするのが事業承継という選択になります。
ただし、その準備には長い時間が必要になります。候補者がいないのであればまずは育てるところから始めないといけません。私たちにできることはほんの一部かもしれませんが事業承継をお考えの際はお声掛けください。

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
「四角い法律を丸く」 そんな想いで、社会保険労務士として日々、企業とそこで働く人たちの“ちょうどよい”を探しています。法律は「正しい」けれど、現場には「現実」がある。その間に立ち、経営者と従業員がともに前を向ける関係性づくりを大切にしています。趣味はランニングとMr.Children、そして何より、お酒を片手に語らうこと。仕事の話でも、人生の話でも、お気軽にお声がけください。“ひと息つける社労士”として、あなたに寄り添えたら嬉しいです。
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