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会社の要請による「自宅待機」は、時間外手当の対象となるのでしょうか?

会社の要請による「自宅待機」は、時間外手当の対象となるのでしょうか? - 社会保険労務士事務所オフィスアールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都千代田区の社会保険労務士事務所オフィスアールワンの濵中(はまなか)です。先日、青梅マラソンで30キロを走ってきました。途中までは快調でしたが、ラスト5キロで足が動かなくなってしまい、最後は這うようにしてゴールしました。フルマラソンまでの道のりはまだまだ険しいようです・・・。

自宅で過ごしていても何かあった場合にすぐに出勤・出動しなければならない、いわゆる「自宅待機」が求められる業種・職種はいくつかあります。それでは、会社からの要請によって発生しているその待機時間は、賃金の対象となるのでしょうか?

これは結論を先にお伝えすると「原則として、待機時間は労働時間とみなされない」となります。しかし、例外的に労働時間とみなされるケースもありますので、この記事ではその考え方を説明いたします。

 

仕事をしていなくても「労働時間」になる?

そもそも、労働時間の定義は

「労働者が労務の提供を行なうために、使用者の指揮監督下にある時間」

となっています。そのため、自宅で仕事をしていない(労務を提供していない)時間は、原則労働時間とはみなされません。

しかし、これには例外があります。たとえ労務の提供を行なっていない場合でも「場所的な拘束を受けているような状態」であれば、使用者の指揮命令下にあるとみなされ、その時間が労働時間とみなされる場合があるのです。

 

それでは「待機時間」は労働時間?

では、「夜間の緊急呼出に備え、自宅で待機している時間」は労働時間とみなされるのでしょうか?

これは、一般的には労働時間に『該当しない』とされています。なぜなら、その時間は労働者が自由に使うことができ、使用者の指揮監督下にあるとはいえないためです。

ただし、これも場所の拘束や行動制限が著しくあるという場合は、ケースバイケースで労働時間に該当することになります。例えば、「緊急出勤の要請があった場合に30分以内に到着しなければいけない」として、「絶対に自宅から離れないこと」を強制する場合は拘束性が強いとして労働時間に該当する可能性が高くなります。

※ちなみに、緊急呼出を受けたのちに、実際に作業をした時間はもちろん労働時間となります。

 

労働時間であることが否定された裁判例

実際に、待機時間が「労働時間ではない」とみなされた次のような裁判例もあります。

ガス漏出等に対応する会社の従業員が、修理依頼があれば現場に駆けつけ、要請がなければ寮の自室で待機してテレビなどを見て普段過ごしていた。その従業員が、待機時間について時間外手当の支払いを求めた。 ー大道工業事件(東京地判平成20年3月27日)

 
これについて裁判所は次の点から、この従業員は「高度に労働から開放されていた」とみるのが相当であり「労働時間には当たらない」としました。

1.修理依頼頻度は1日1回程度
2.24時間シフトでも稼働時間が占める割合は小さく、むしろ不活動時間が占める割合が格段に多い
3.寮の自室での行動は自由。外出も原則自由

以上のポイントを見ると、他のケースであっても待機時間が労働時間とみなされるのは相当困難であるといえます。

 

待機時間に対する手当の支給は不要?

さて、一般的に労働時間とはみなされない待機時間に対しては、もちろん会社からの手当の支給は必須ではありません。しかし、定期的に待機時間が発生するような場合には、手当を設けた方がよいと言えます。その理由は「会社や顧客から連絡があったときに対応してもらう義務(電話に出るなど)」の根拠とするためです。

待機時間が発生しやすい業界として、医師・看護士などの医療機関においては手当が設けられていることが多いものの、IT系のシステム保守・運用においては、手当が設けられている会社が少ないのが現状のようです。

 

待機時間が丸々労働時間とみなされてしまうことがあれば、企業には非常に大きなコストが発生することになります。そこで自宅待機が発生する会社においては、まずはそれが「労働時間に該当するような、強い拘束状態が発生していないか」ということを最初に確認する必要があります。

そのうえで「労働時間には該当しないが、ある程度の拘束をしている」という場合には、手当の支給を検討してください。もちろん、手当の支給は義務ではありませんが、お互い気持ちよく仕事をするために必要なことではないでしょうか。

 

濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士事務所オフィスアールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
入社9年目。三人の子供と、読売ジャイアンツと西武ライオンズをこよなく愛する39歳です。 新規契約のお客様の案件を担当することが多く、就業規則や人事評価制度の構築など、幅広く対応しています。最近では外部からセミナー講師のご依頼を頂くケースも増えてきました。 現在、フルマラソン参加を目標にトレーニング中です。

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