アールワン日誌 Blog

考えたくはないけれど・・・会社が人員整理を行うときの手順とは。

2015/06/10

考えたくはないけれど・・・会社が人員整理を行うときの手順とは。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。近々、ワールドカップの予選が始まるので待ち遠しいです!武藤選手と宇佐美選手に期待しています。

会社にとって経営悪化を理由とした「人員整理」は、できるだけ考えたくない手段です。しかし、いざそのような場面に直面すれば、冷静な判断をすること自体が難しいもの。そのうえ知識もないままに話を進めてしまえば、非常に大きな労務リスクが発生します。

そこで、今回は労務の観点で見た、「人員整理」の進め方をお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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人員整理の進行スケジュール

人員整理を行う場合、あらかじめその「予定人数」を決定します。そのうえで、退職者がその「予定人数」に達するまで、次の流れで進めることになります。

(1)第 1 次希望退職の募集

(2)第 2 次希望退職の募集 ※退職勧奨する可能性がある場合は、それを示唆しておく

(3)退職勧奨

(4)指名解雇

 

(1)(2)の「希望退職」は従業員の自主的な退職を促すものです。そこで予定人数に達しなかった場合に、(3)「退職勧奨」を実施します。(後述しますが「退職勧奨」は「解雇」と異なり、退職は従業員の判断となります)

最後が(4)の「指名解雇」となっており、もちろん後の方になるほど、それを実施する会社側のリスクも高くなっていきます。それぞれの注意点について、個別にみていきましょう。

 

「希望退職」で注意すべきこと

希望退職の募集においては、次の4点を従業員に明示する必要があります。

① 募集時期

② 募集人数

③ 募集対象者

④ 退職上積み金の有無 ※有無は会社の判断でOK

 

③の「対象者」と、④の「退職上積み金」について、主な注意点は次のとおりです。

 

 「募集対象者を限定してもよいか?」

>>OKです。希望退職は労働者の意思によるものであるため、適法とされます。

 

「それでは性別によって、対象者を限定できるか?」

>>「男女雇用機会均等法」に抵触するため、NGです

 

「退職金の上積み金の支給を、会社が承認した者に限定できるか?」

>>OKですが、事前の周知は必要です。

 

「退職勧奨」で注意すべきこと

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希望退職で、予定人数に達しない場合には次に「退職勧奨」が求められます。退職勧奨とは、会社からの働きかけにより、「従業員のほうから退職の意思表示をしてもらう」行為のことです。

あくまで従業員の自発的な退職を促す行為であるため、解雇のような法律的な制限はありません。しかし、その方法を間違えると無効になってしまうばかりか、慰謝料を請求されてしまうことさえあります。

※下記のブログ記事でもくわしく説明しておりますのでぜひご覧ください。
どこからが「強要」になってしまうのか?「退職勧奨」の3つの注意点。

 

退職勧奨を実施する場合の注意事項は次のとおりとなります。

①「希望退職者が予定数に達しないため、やむを得ず退職勧奨を行う」というスタンスで実施

② 退職上積み金を提示すること

③ 勧奨する上司は 1~2 名とし、社員の自由な意思を尊重できるような雰囲気でおこなう

④ 1回の面談の時間は 20~30 分間。必ず就業時間中に行う。

⑤ 面談の場所は会社内施設で行う。自宅や電話は不可

⑥ 面談の回数は、2~3 回程度が望ましい

 

「指名解雇」で注意すべきこと

残された最後の方法が「指名解雇」となりますが、指名解雇をいきなり行うということは許されていません。解雇が従業員に与える不利益は非常に大きなものであるため、それを回避するために経営者は「希望退職者の募集」「配置転換」「労働時間の短縮」等を可能な限り行う必要があります。

もしもこちらを怠って解雇を実施し、裁判などに発展した場合には、会社が解雇回避義務を果たしていないと判断されてしまいます。簡単に選択できる手段ではないこと、くれぐれもご注意ください。

 

人員整理という選択には、実施する会社の側にも必ず辛い思いがあるはずです。それでも、解雇をされる側の不安や不利益の大きさとは比べることができません。

整理解雇を行う際は、会社として誠意を持って従業員の方と向き合い、再就職先のあっせん等、可能な限りのサポートをしていくことが大切です。

 

まとめ
今回のトピックについて、会社が取り組むべきこと

まず最初に「希望退職」を募集

次の「退職勧奨」は、強要にならないよう注意が必要

「指名解雇」は、解雇回避義務を十分に果たしたときだけ

 

企業の経営者・担当者さま

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西嶋 一樹(にしじまかずき)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。