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「3年まで」と定められた派遣期間制限ルールの内容と、その延長方法を説明します。

2018/06/20

「3年まで」と定められた派遣期間制限ルールの内容と、その延長方法を説明します。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの黒木(くろき)です。先日、日比谷公園のお祭りで「苺の削り氷」を食べました。冷凍苺をスライサーで削ったものに練乳がたっぷりかかっていて、苺の甘酸っぱさが際立ってとても美味しかったです。自宅でもやってみようと思います。

《派遣可能期間は3年まで》と定めた2015年の改正労働者派遣法の施行から3年が経過し、いよいよ2018年9月以降からその制限期間を迎えます。今後、派遣先企業が期間制限に違反した場合には「労働者契約申込みみなし制度」(派遣先が派遣社員に対して、派遣元と同条件で「直接雇用」の申込みをしたとみなされること)の対象となってしまいます。

そこで、今回は違反しないための「派遣期間制限ルールの確認」と「派遣可能期間の延長の対応」についてお伝えいたします。


企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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派遣期間制限ルールとは?

2015年の改正労働者派遣法の施行日以降に締結された労働者派遣契約にもとづく派遣には、すべての業務で2つの期間制限が適用されています。

①事業所単位の期間制限
「派遣先の事業所」が派遣社員と契約できる期間は、最初の契約から原則3年が限度となります。

②個人単位の期間制限
「派遣社員個人」が派遣先の事業所の「同一の組織単位(※)」に対して派遣される期間は、3年が限度となります。
※部署やグループ等の業務に類似性や関連性があり、指揮命令系統が成立しているもの

また、今回の期間制限において「派遣元に無期雇用されている派遣社員」および「60歳以上の派遣社員」は対象となりません。(前者については、あらかじめ派遣元企業に確認する必要があります)

 

派遣可能期間を延長するには?

ただし、派遣先の会社は「派遣期間が終了する1ヶ月前までに、その事業所の過半数労働組合等から意見を聞く」ことによって、3年の派遣可能期間をさらに延長することが可能です。(延長できる期間は、都度3年ごととなります)

 

□事業所単位の期間の延長

1 派遣先が過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者※)に対して意見聴取
>>「延長しようとする事業所」「延長しようとする期間」「事業所における派遣社員の受け入れ状況」を書面にしたうえで、意見を聴取します。
※代表者を決める場合、「派遣の受入れ延長についての意見聴取のため」としての労働者代表を管理監督者以外の人から民主的な手続き(選挙、挙手等)で選出します。会社に直接雇用されている従業員の過半数の同意が必要です。

2 過半数労働組合等に対応方針などの説明
>>延長前の派遣可能期間が経過する前に「延長の理由」「延長の期間」「当該異議への対応方針」を説明します。また、組合の意見を尊重するように努めなければなりません。

3 延長が決まった後に事業所の社員へ周知
>>意見聴取に関する事項を書面に記載し、延長しようとする派遣可能期間の終了後3年間保存します。またその内容を、事業所の社員に周知することが必要です。

 

□個人単位の期間の延長

個人単位の期間制限は延長することができません。そのため、派遣先が引き続き同一の派遣社員を受け入れようとする場合には、所属する組織単位を変える必要があります。もちろん、その事前に事業所単位の期間制限が延長されていることが前提となります。

 

1 - 社会保険労務士事務所オフィスアールワン | 東京都千代田区

 

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もしも延長手続きに不備があれば、派遣先への直接雇用を希望する派遣社員が「労働契約申し込みみなし制度」の適用を主張するおそれがあります。予期せぬ事態から会社を守るためには、派遣社員の抵触日についてしっかり確認しておくこと、そして過半数代表者を正しい方法で選出することなどが大切です。

 

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黒木 知子(くろきともこ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 黒木 知子(くろきともこ)
日ごろから社会保険の手続き業務が数多く発生するお客様を担当させていただき、これまで実にさまざまな手続きに携わってきました。そこで常に痛感しているのは、事前の準備とお客様へのご案内の大切さです。プライベートでは飼い猫に癒されながら、日々の活力を養っています。