アールワン日誌 Blog

相次ぐ不適切画像や動画の投稿・・・企業に自衛策はあるのでしょうか?

2019/02/28

相次ぐ不適切画像や動画の投稿・・・企業に自衛策はあるのでしょうか? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。最近の週末は早起きをして、近所の土手を歩くことが習慣になっています。体を動かすと、スッキリした気持ちで週末を始めることができるのでおすすめです!

いまから数年前にも飲食店の従業員が悪ふざけをした不適切な画像や動画もSNSを通じてアップしたことが問題になりましたが、ここ最近になって再びこのような問題が報道され始めています。

<牛丼チェーン店>
アルバイト従業員が床に氷を投げ、股間に調理器具をかざす。
→従業員は退職処分

<寿司チェーン店>
アルバイト従業員がさばいた魚をゴミ箱に入れたあと、まな板に乗せる。
→従業員は退職処分、かつ刑事・民事での法的処置を準備

 

これによって会社が甚大な損害を受けることは言うまでもありませんが、それではこのような問題の防止措置を事前に講じることは可能なものでしょうか?今回の記事では、その対策について考えていきます。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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就業規則や誓約書における罰則の明文化

◇入社時の誓約書

業務に係ることについてSNSへの投稿を禁止する事項を明記しておきましょう。

 

◇就業規則

以下の内容を規定しておく必要があります。

(1)服務規程(社内ルール)

・SNS上で、会社・従業員・顧客または関係者を中傷することは厳禁とする。また、顧客情報や社員情報などの投稿も禁止とする。
・常に品位を保ち、会社の名誉を害したり、信用を傷つけるようなことをしないこと。

(2)懲戒処分

①懲戒事由
・故意または重大な過失により会社に損害を与えたとき。
・会社内において刑法その他刑罰法規の各既定に違反する行為を行ったとき。
・その他この規則に違反し、または前各号に準ずる不適切な行為があったとき。

②懲戒の種類
・懲戒解雇→即時に解雇する
・諭旨解雇→趣旨や理由を諭し、使用者と労働者が話し合い両者納得の上での解雇処分
・出勤停止→始末書の提出+○日間を限度とし出勤停止(賃金は支給しない)
・減給→始末書の提出+減給
・けん責→始末書の提出により将来を戒める

(3)損害賠償

従業員が、故意または過失によって、会社に損害を与えた場合はその全部または一部を賠償させることがある。

規則違反をした場合に懲戒処分を行い、会社に損害を与えた場合には損害賠償の請求を行うためにも、事前に就業規則に明文化してそれを従業員に開示しておく必要があります。

 

「これが自分や家族にどのような影響を及ぼすか?」

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上記でお伝えしたような事前の規則の制定は必要不可欠であるものの、このような問題が発生する最大の原因は「自分が悪ふざけをすることやその不適切な画像・動画を投稿することが、自分自身や周りにどのような影響を及ぼすのか」をその瞬間に正しく認識できていないことだと考えられます。それは、ルール上禁止にしているというだけでは十分に対応できないところです。

悪ふざけをして、なおかつそれが公になってしまった場合にどのような将来が待っているのかを従業員に具体的にイメージしてもらう機会を、入社時や入社後の定期的な研修において設けましょう。これは、自分自身の行動の責任、それによって起こる影響の恐ろしさを知ってもらうことが目的です。

具体的には、不適切な行為がおよぼす影響について問題形式で本人に考えてもらいつつ、会社から回答例を提示していきます。

「Q 自分にどのような影響があるか?」
回答例:解雇される/学校を退学になる(学生の場合)/会社から損害賠償請求を受ける/ネット上に自分の氏名が残り、自身の将来に影響が出る(就職や結婚など) etc

「Q 家族にどのような影響があるか?」
回答例:自分で払えない多額の損害賠償金を家族が負担/報道等で近所での評判が悪くなる/自宅を特定され、現在の場所に住めなくなる/家族が誹謗中傷の対象となる etc

「Q 会社にどのような影響があるか?」
回答例:消費者や取引先から損害賠償を請求される/信用を失った結果、売上が大幅に減少する/営業活動ができなくなり、会社が倒産する etc

 

ルールや罰則の制定は必須ですが、反面多くの大企業においてはすでに実施していることであり、それでもなお問題が発生しているのが実情です。100%未然に防ぐということは不可能であるとしても、時間をかけた従業員教育は今後欠かせなくなるでしょう。

SNSによって誰もが瞬時に情報を公開できるようになった現代において、企業の風評リスクは以前とは比較できないレベルになったと考えられます。問題を起こした社員を雇用した会社の責任も免れることはできない以上、このようなリスクに対して今後あらゆる企業が意識を高めていく必要があります。

 

企業の経営者・担当者さま

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西嶋 一樹(にしじまかずき)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。