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休日レクリエーションへの参加も評価材料に?人事評価の「原則」をお忘れなく。

2019/04/30

休日レクリエーションへの参加も評価材料に?人事評価の「原則」をお忘れなく。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都にある社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。映画「ボヘミアン・ラプソディー」を観てからQueenにハマってしまい、ランニング中はもっぱらQueenを聴いてテンションを上げています。

今回のテーマは「休日に会社が行うレクリエーション」についてです。社内のコミュケーションの活性化や連帯感を強めるために、休日にバーベキューやボウリング大会などを行う会社も少なくありません。もしも、そのような場への参加の有無が個人の人事評価に影響すればどのような問題が起きるでしょうか?

まっさきに思い浮かぶのは「その参加時間は、労働時間にあたるのでは?」という疑問ですが、最高裁の判決で「労働時間=使用者の指揮命令下にある時間」とされています。そのため、参加の有無が人事評価項目であれば、労働時間に該当する可能性は大です。

しかし今回の記事では、それとは別の視点からこの問題に潜むリスクをお伝えします。

※労働時間については、こちらのブログもあわせてご覧ください。

 

企業の経営者・担当者さま

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休日レクリエーションの参加率をカウント

当社が以前に、ある会社様から新たに「評価制度の見直し業務」を受注したときの話です。それまで使用していた評価項目の内容を確認してみると「レクリエーションへの参加率」という項目があったことに、驚きました。

この会社では毎月1回、休日にバーベキュー大会などのレクリエーションを行なっていたのですが、その参加は「任意」でありながらも個人ごとの参加率をカウントしていて、それを人事評価の項目の一つとしていたのです。

私はこの評価項目の存在自体がリスクであると判断し、新しい評価制度においては廃止を提案しました。

 

人事評価の「原則」が守られなければ

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そもそも、人事評価の大原則は「職務行動の評価」です。これは「職務(業務)に関係あることのみを評価する」という意味です。たとえば「プライベートでボランティア活動に熱心な従業員」がいた場合、そのこと自体はよいことでしょう。しかし、それが人事評価に影響を与えるべきではありません。人事評価は、あくまでも職務の結果や成果について評価されるべきという考え方です。

そこから考えても、休日に開催されるレクリエーションの参加率を評価に反映すれば、この原則から外れてしまいます。業務外の行動で評価を受けることができると、結果を出している社員に不満が生まれ、会社に貢献しているエース社員から離職していくということにもなりかねません。そのことこそが、今回の問題における最大のリスクと言えるのではないでしょうか。

 

高めたかったのは「チーム力」

それではなぜ、このような評価項目を設けていたのでしょうか?社長のお考えをお聞きしたところ

「お互いをよく分かり合うことで、一個人の力がチームの力になっていく。そのためにはプライベートを含め、もっとお互いを知ることが大切だから」

とのことでした。その会社様は設立してまだ5年目で、中途採用の方が多く、「チームとして完成していない」という思いがあったそうです。

そこで「レクリエーション参加率」の項目は廃止するものの、新たに「チーム力」という評価項目を設けることにしました。そして、その会社が期待する「チーム力」というのが業務を遂行する中で具体的にどのような行動かを社長に書き出してもらい、それを従業員の皆さんと共有しました。

あとで聞いた話ですが、ある従業員の方が「レクリエーションの参加率を評価されるなんて正直不満だった。これで仕事に集中できる」とすっきりした顔で話されていたそうです。

 

現代は、働くことについての価値観が多様化しています。また、休日をスキルアップや自己研鑽の時間にあてる成長志向の人も多くいるはずです。そのような人材にとって、休日における会社のイベント参加はどのように感じられるのか、それがお互いにとってプラスであるのか、という視点が求められます。

そして、個人と会社の成長を同時に実現するためには「社内における職務行動や目標の達成度を正しく評価する」ということが欠かせません。この原則を踏まえた評価制度を備えている会社こそが、優秀な人材に働きがいを提供しつづけられるのではないでしょうか。

 

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濵中 伸介(はまなかしんすけ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
お客様との「関係性」の構築を大切に考えています。私たちのやることが企業やそこで働く従業員の成長・発展に繋がるよう日々奮闘しています。趣味はランニングとミスチル、それとお酒を飲みながら人と会話をすることです。みなさん、よろしければお声掛けください!