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会社が倒産したときに必要な、健康保険・国民年金の手続きの流れ。

2018/02/28

会社が倒産したときに必要な、健康保険・国民年金の手続きの流れ。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの黒木(くろき)です。先日、十数年ぶりに家族がインフルエンザにかかってしまいました。ただ、十数年前に比べると薬がだいぶ進化しているようですぐに治ってくれました。今さらですが、新薬万歳ですね。

さて、最近の帝国データバンクの統計によると、昨年(2017年)の会社の倒産件数が8年ぶりに増加に転じたとのことです。数年前になりますが、会社の破産申請にともなう、社会保険の喪失や離職票発行の手続きが続いたことがあります。(元々当所との顧問契約があった会社様ではなく、弁護士事務所から紹介いただいた会社様への対応です)

会社から破産申請をしたことを社員へ報告・説明をした後に、今後の健康保険と失業給付手続きについての説明を行うことと、1日でも早く離職票をご自宅へ送付できるように手続きを行う、というのが私たちの役どころでした。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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会社が倒産後の健康保険・国民年金の手続きの流れ

この場合に説明する「今後の健康保険・国民年金についての手続き」は以下のような流れとなります。また、これらはすべて従業員ご本人が対応する必要があります。

①退職した方の選択肢として「国民健康保険」と「任意継続健康保険」のいずれかを選択することができます。 65歳未満の方で国民健康保険に加入する場合は離職理由が「倒産」になりますので、保険料の減額制度が利用できます。(保険料を計算する際の前年度の給与所得を30%で計算することができます)そして、この減額制度は「任意継続健康保険」にはありません。そのため、「任意継続」の保険料のほうが安くなるということは稀であり、以下の流れも「国民健康保険」を選択した前提とします。

②市区町村役場の国民健康保険課で健康保険被保険者証を取得する手続きを行います。
(持参するもの)健康保険資格喪失証明書/身分証明書(写真つき)/印鑑/マイナンバー通知カード

③離職票がご自宅に届いたら、すぐにハローワークで求職の申し込みをしてください。そのときに「雇用保険受給資格者証」が交付されます。

④「国民健康保険料の減額制度の申し込み」と「国民年金の種別変更・保険料免除制度の申し込み」を行います。減免制度は、本人からの申し込みがあってはじめて適用されますので、忘れずに手続きが必要です。
(持参するもの)雇用保険受給資格者証(ハローワークにて交付されたもの)/国民健康保険被保険者証/年金手帳/印鑑

 

特に記憶に残っている、破産申請の説明会

私が数年前にいくつかの会社様の破産申請の説明に立ち会ったことは最初にお伝えしましたが、そのなかでも東北地方のある会社様のことは2つの点で特に印象に残っています。

その1つ目は、破産申請のことを社員の方々に説明する日にハローワークの職員が直接来社して今後の失業給付手続について説明していたことです。(この地区のハローワークでは、倒産等により一定以上の離職者がでる場合、事前に申し込めば説明に来てくれるとのことでした。都内ではあまり聞いたことがなかったので、すこし驚きました)

そして、私が印象に残った2つ目の点は、説明会のときの社員の方たちの姿です。説明会の立ち会いを依頼されると、私は会社の破産を発表されたときの社員の方たちの反応を想像して、いつも直前までもの凄く緊張していました。特に、この会社様では中途採用された方が少なく、ほとんどの方が新卒で入社していたのです。このまま定年まで勤務できるはずだったのにと考えれば、多くの社員の方にとって、会社の破産申請はとても受け入れられなかったはずです

しかし、この会社の社員の方たちは、みなさんが経営陣を責める気持ちを抑えながら真剣に話を聞き、そして「自分は今後どう動けばよいのか」について何度も慎重に質問と確認をされていました。きっと、いろいろな思いを抱えながらであったと想像します。

そのような姿を見た私も、個別の事情がありどうしたらよいのか困惑されている方については、こちらからお声をかけて丁寧に事情を聞き取らせていただき、まず確認するべきことや行うべきことを明確にしていきました。その後、今後の生活への不安が少しでも軽減できるようにと、離職票の作成を大急ぎで夜遅くまで行ったことも思い出されます。

 

このような体験を通じて実感するのは、本当に大変なときこそ、お客様ときちんと向き合う姿勢が欠かせないということです。気持ちに寄り添いながら、必要なことを簡潔に説明することでご信頼いただき、なおかつ安心してもらえる、そのような仕事を目指して日々精進しています。

 

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黒木 知子(くろきともこ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 黒木 知子(くろきともこ)
日ごろから社会保険の手続き業務が数多く発生するお客様を担当させていただき、これまで実にさまざまな手続きに携わってきました。そこで常に痛感しているのは、事前の準備とお客様へのご案内の大切さです。プライベートでは飼い猫に癒されながら、日々の活力を養っています。