アールワン日誌 Blog

育児休業中に仕事をしても、育児休業給付金は受け取れるのでしょうか?

2018/02/20

育児休業中に仕事をしても、育児休業給付金は受け取れるのでしょうか? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。最近のマイブームは人参のすりおろしで、パスタに入れたり、魚のソースとして楽しんでいます。次は何をすりおろすか、目下食材と検討中です!

2017年10月1日から、育児休業が最長2年まで取得することができるようになったことで、今後育児休業の期間が長くなる傾向です。そこで最近では、お客様から「育児休業取得者に、繁忙期だけ臨時で働いてほしい」「時間が空いているときに短時間だけ、在宅で仕事をしてもらいたいのだが」というご相談を受けることが増えてきました。

この場合、「育休中に働いてしまうと、本人の育児休業給付金が支給されなくなるのではないか」と思われがちですが、実は一定の条件内であれば育児休業給付金には影響がありません。今回はその内容についてご案内します。

 

「月に10日以内もしくは80時間以内」が支給要件

育児休業中に就労した場合でも「臨時的・一時的であって、その後も育児休業を継続するということが明らか」であれば、職場復帰とはみなされず育児休業給付金を受け取ることができます。

ただし、①「1ヶ月に就労した期間・時間」および②「受け取る賃金額」によっては不支給もしくは金額調整となります。

①「1支給単位期間」(約1ヶ月とお考えください)において「10日かつ80時間を超えて就労」した場合には、その期間の育児休業給付金を受け取ることはできなくなります。

②上記①の時間内(10日以下もしくは80時間以下)であっても、受け取る賃金額によって、以下のように調整されます。

A 支給された賃金額が育児休業開始時の賃金月額(以下賃金月額※)の30%以下の場合
→ 育児休業給付金に影響はありません。

B 支給された賃金額が賃金月額の30%超80%未満の場合
→ 「賃金月額×80%」と、支給された賃金額の差額が支給されます。

C 支給された賃金額が月額の80%超の場合
→ 育児休業給付金は支給されません。

※育児休業開始時の賃金月額とは、原則、育児休業開始前6か月間の賃金を180で除した額です。

 

自社以外の副業の場合でも条件は同じ?

また、これに関連してお客様からよく寄せられる質問には次のようなものがあります。

Q「臨時的・一時的」とみなされないのはどのような場合ですか?

A たとえば「1日5時間、月・水・金勤務することとする」と契約書等で定めてしまうと、短時間での復職とみなされ、育児休業給付金を受け取ることができない可能性があります。そのため、「1週間に2日程度、1日3~5時間程度とし、出勤日及び時間については、事前に本人と調整する」などと定めていただくことが望ましいです。

Q自社ではなく、他社で働いた場合には、育児休業給付金はどうなるのでしょうか?

A 他社で働いた場合でも、およそ1ヶ月のなかで「10日かつ80時間を超えて就労」した場合には、育児休業給付金を受け取ることはできません。これは他社に雇用された場合に限らず、業務委託契約や個人事業主として就労した場合でも同様です。ただし、自社以外から得た賃金や報酬による、育児休業給付金の支給額の調整は発生しません。これは「自社で受け取った賃金額」のみが対象となります。

 

育児休業中であっても、業務上やむを得ず就労するケースや、生活のために少しでも収入を増やそうという思いから就業をするケースが多くなっています。また、昨今では副業・兼業を容認する会社も増えており、育児休業中に自社以外で収入を得たいという要望も無視できなくなってくるでしょう。そのときに今回の支給要件を知らなければ「育児休業中に働いたために、育児休業給付金が減額、または受け取ることができなくなってしまった」という状況に陥りかねません。

逆に、制度を正しく理解できていれば「育児休業から本格復帰する前の、ならし勤務を導入する」といった復帰サポートも可能となります。育児休業からの復帰にあたって「本当にやっていけるかな」という不安を感じる方は多く、少しでも仕事に触れておくことができれば、復帰がよりスムーズになるでしょう。ぜひ、ならし勤務制度の導入も検討してみてください。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

WEBからのお問い合せはこちら

笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社12年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(週1回目標!)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。