アールワン日誌 Blog

就業規則に試用期間中の解雇の定めはありますか?

2019/06/30

就業規則に試用期間中の解雇の定めはありますか? - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。自宅の最寄り駅は地下鉄大江戸線の駅で、そこの駅員さんたちは本当にすごいです。それは毎朝改札を通る人たちに、もれなく「おはようございます」と声をかけていることです。多くの方は顔を駅員さんに向けることなく足早に改札を通り抜けていく中、それでも声をかけ続けていること、自分にはとても真似ができないなあと頭が下がります。

最近、試用期間中の人についての労務相談が続けてありました。試用期間は、労働基準法で設けることが定められてはいないものの、3カ月から6カ月としている企業が多く、ほぼあってあたり前のものです。「本採用の前に従業員の適性を企業が確かめる期間」ですが、労務トラブルにつながる誤解と本採用の判断についてお伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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試用期間誤解その1 試用期間中は自由になんら制限なく解雇ができる。

お客様 「営業で雇ったけど、全然成績があがらない。まだ試用期間中だからやめてもらおうと思う」

私   「試用期間中に達成すべき数値や、達成ができないと本採用にならないことは、事前に本人にお伝えされていましたか?」

お客様 「(ピキッ!)高澤さん、日本語わかっていないね。試しに用いるから試用期間でしょ。(ひややか)」

 

お客様 「雇ってから2週間たった人なんだけど、やめてもらおうと思うんです。どのように本人に伝えたらいいですかね?」

私   「やめてもらいたい理由はどのようなことですか?」

お客様 「う~ん、なんていうか暗いんだよね。うちには向かないっていうか」

いずれも10年ほど前の会話で、その理由で解雇をすることの会社リスクをお伝えし、思いとどまっていただきました。たとえ試用期間でも、客観的・合理的な理由がなければ解雇はできず、能力が期待はずれだった、個人的な好き嫌い、は理由になりません。このような理由での解雇は、相手側からの「不当解雇!」という主張により会社は残念な時間をかけた上に、多額の金銭出費が待っていることがほとんどです。

 

試用期間誤解その2 試用期間14日以内ならさらに自由になんら制限なく解雇ができる。

採用から14日以内であれば解雇時の解雇予告手当や解雇予告は行う必要がありません。しかし、この場合も解雇には正当な理由が必要です。

 

そもそも正当な理由とは?

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試用期間中の解雇事由として、

「経歴詐称」
「正当な理由のない欠勤、遅刻、早退が繰り返される場合」
「職場での協調性にかけ、上司から注意を受けても改善されない場合」

であれば、解雇が認められる方向になります。

そして何よりも、試用期間中であれば本採用された人よりも解雇事由が広く認められています。そのため、就業規則に正社員の解雇事由とは別に、より広い範囲の「試用期間中の解雇事由」を具体的に定めておく必要があります。

 

別れるなら早いうち

会社側の主観や事実に基づかない判断で試用期間中の人を解雇することは、単に不当解雇になるから、という理由だけではなく、雇った側の責任を考えると行ってはならないことだと思います。とはいえ、やはり本採用はすべきではない、と思ってしまう人のご相談も受けます。

「入社早々、協調性がなく、上司の言うことを聞かない。自分勝手な行動が直らない。しかし能力、スキルは高い・・。やはり本採用する。人手不足だし。」

という場合、私の経験では、本採用後、問題社員として周りを困らせ続けることがほとんどです。能力はどうであれ、上司の指示や職場ルールに従わない、従えないという人とは早いうちに別れるべきだと思っています。

就業規則に正社員の解雇事由とは別に、より広い範囲の「試用期間中の解雇事由」を定めることは、会社というコミュテイを護るためにとても重要です。

 

 

企業の経営者・担当者さま

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高澤 留美子(たかさわるみこ)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。