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解雇予告手当を支払っても解雇できない?解雇するときの注意点とは。

2022/02/10

解雇予告手当を支払っても解雇できない?解雇するときの注意点とは。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、冬の定番のふぐを食べてきました(刺身、てっちり等、ふぐ三昧でした)。寒い日に飲むひれ酒は身体にしみました。

労働基準法第20条では、「会社が従業員を解雇するときは、少なくとも解雇の日の30日前に予告すること、もしくは1日につき平均賃金1日分の解雇予告手当を支払うこと」と規定されています。ただし、このとおりにすれば解雇が有効になる、といった単純なものではありません。

そこで今回は解雇する場合の注意事項について、お伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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解雇とは

解雇とは「労働者の意思に関わりなく、使用者の一方的な意思により労働契約を終了させる」ことです。一方的な労働契約終了を通知された社員は、その後の生活をどうすれば良いか、悩むことになります。そこで、労働基準法では「30日前の予告、または解雇予告手当の支払い」を求めています。

ただし、この規定はあくまでも「解雇を通知する場合の手続き」のことです。使用者はいつでも自由に解雇できるわけではなく、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」は解雇が無効となります(労働契約法第16条)。

では、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」かどうかは誰が判断するのでしょうか。最終判断者は使用者でも労働者でもなく「裁判官」です。そのため、30日前に予告(もしくは解雇予告手当の支給)をしたとしても、解雇そのものが無効と判断される場合があります。

 

テレマート事件(大阪地判平成17 労判944号61頁)

所属部門廃止に伴い解雇された労働者らが地位確認・未払賃金支払を請求した事案です。

「事業部の閉鎖につき経営上の理由を認めることは困難で、また解雇回避措置が尽くされたとはいえず、十分な協議や説明もなされていない。また、整理解雇の要件たる同事業部閉鎖の合理的な理由、解雇回避措置、解雇に至るまでの手続の相当性はいずれも不十分である。むしろ、同事業部労働者による組合結成を嫌悪して同事業部の廃止及び解雇が行われたことが推認されることから、解雇は無効である」

とされました。

また、「解雇に異議を申し立てない旨の誓約書の提出及び解雇予告手当および解雇一時金を受領した事実があったとしても、解雇無効の結論が左右されることはなく、整理解雇は無効である」、とされました。

 

「解雇予告手当を支払った=解雇が有効(解雇ができる)」ということではないのです。

解雇は会社からの一方的な雇用契約終了ですので、トラブルになりがちです。「うちの会社では能力を発揮することが難しい」という社員がいた場合は、解雇ではなく退職勧奨をおすすめします。雇用契約の終わらせ方について、お悩みの方はぜひご相談ください。

 

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笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社12年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(週1回目標!)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。